道州制推進連盟
道州制推進連盟では道州制の実現を目指す仲間としての活動会員(無料)を募集しています。ぜひご参加ください。詳しくはこちらから
 九州アンケート回答についての意見 アンケート集計結果 >> トップページ

2004年3月に九州各県に向け実施したアンケート調査に対しての道州制推進連盟からの意見です。道州制推進連盟九州アンケートの九州各県の回答はこちらです。

04-06-11 道州制推進連盟

0. アンケート回答全般について
1.アンケートの回答締め切り期限を明示していなかった為、発送から全県の回答までに約2ヶ月を要した。しかし全県から懇切な回答が得られた事に感謝する。
2.回答項目1の現在の日本の中央集権システムについてを除いて、殆どの質問に対して、回答が明確な賛否ではなく(その他)であった。これは現在九州地方知事会の下に各県部長クラスで構成する「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」を設置して調査研究している段階で、まだ結論に到達していない状況を反映していることと、質問が一部現状にマッチしていなかった為と考えられる。

1. 現在の日本の中央集権システムについて
(a.抜本改革、b.改善維持、c.OK)a.抜本的に改革すべき:福岡、大分、熊本、沖縄、佐賀、単に改革すべき:長崎、分権社会の構築:宮崎、研究中:鹿児島、長崎、宮崎、鹿児島の三県はやや慎重であるが、大勢は中央集権から抜本的な改革を望み、特に佐賀県の意見は模範的である。

2. 九州を道州制にすることについて
(a.賛成、b.反対、c.その他)鹿児島県が回答なくその他意見欄参照となっているが、実質的には全県(c.その他)であり、九州を道州制にすることに方向としては賛成であるが、実際に道州制にするには尚多くの問題を抱えており、研究会で課題を整理してから明確な意志表示をするとの意向である。尚沖縄は地理的、歴史的、文化的条件から九州と一緒になるか別になるか検討中の模様であり、我々は特殊条件から別方向を支持する。

3. 道州制にした場合、中央省庁出先機関との一体化について
(a.統合、b.佐賀のみ(a.統合)で鹿児島の回答なしを除きその他の県は(c.その他)であった。ただし沖縄は原則として一体化統合すべきと考えるが詳細は検討を要するとしている。又福岡も例外的なものを除いて地方に移管すべきと答えている。宮崎、長崎、熊本は国と地方との役割分担を尚検討を要するとしているが、真の地方自治を考えたら、地方に関する行政機関は原則として統合すべきであろう。

4. 県知事に市町村合併の仲介権限を与える新法案について
a.期待している、b.期待していない、c.その他、に対して長崎のみa.でその他はすべてc.であった。この中で沖縄は、期待しているが関係市町村と十分調整の上対処するとしている。又大分は現在の枠組みで十分としており、佐賀は現在合併協議を遅らせる懸念があるとしている。福岡、熊本は市町村が自主的に行うべきだとの考えで、その他宮崎は聞いていない、鹿児島は国の方針が明らかでないと判断できない、としており、いずれにしても財政効率向上のために市町村合併を積極的に推進することが国家的国民的要請であるという認識が、県レベルでは十分ではないような印象をうけた。

5. 道州制にした場合の公務員の削減について
(a.難しいが実施すべき)と答えたのが大分と長崎で、直接知事の意見が反映されていると思われる。他はすべて(c.その他)で詳細検討を要するという回答で、佐賀のみ公務員削減は副次的効果で本来の目的ではないとしている。しかし行政コスト削減のためには公務員の削減は避けて通れない課題であり、国家公務員や県庁職員を市町村自治体や民営化企業体に移す仕組みを真剣に考える必要がある。

6. 地方交付税の存続について
a.できるだけ早く廃止すべき、b.中長期的計画的に廃止、c.廃止すべきでない、という設問に対し、回答は全て(c.廃止すべきでない)であった。これは質問に[道州制にした場合]という注釈がないため、現状でという解釈がされたかとも思われる。長崎と沖縄は道州制の場合検討中或いは検討が必要と答えている。熊本の回答のように財源保障機能と財源調整機能を有する地方交付税制度は必要と考えるとしており、税源移譲と共に自立するという意欲に欠けているのではと思われる。このあたりが道州制の実現に際して大きな争点になると思われる。道州制にしなくても120兆円の債務を抱える地方交付税制度は実質破綻していると見るべきであろう。道州内の市町村の財政調整制度は必要としても、道州として地域の自立を計るには、交付税ではなく、人と企業を誘致し、付加価値の高い新しい産業育成の具体策が不可欠であると考えるし、苦難の中から繁栄を自力で獲得したスイスや北欧諸国の発展の歴史を参考とすべきではないかと思う。

7. 道州制にした場合、縦割り行政による各種の規制についてどう考えますか?
a.撤廃すべき、b.撤廃の必要ない、c.その他、という設問に対し、鹿児島の回答なし以外はすべて(c.その他)であった。規制緩和の方向としての反対はないが、個々の規制について具体的に検討が必要との見解が多く、熊本は国の関与を受けない権限が拡大すれば縦割り行政の弊害は解消される方向に向かうと考え、佐賀は最終決定権を中央が握っていれば実質的に変わらないと答え、道州制にしても中央の組織がどう変わるか明確でないと回答がばらついてくることを示している。やはり中央政府の将来像の明確化が必要と思われ、いずれ内閣に意見を具申したい。

8. 政府、自治体による許認可公益法人についてどのように考えていますか?
a.原則廃止、b.民営化、c.現行可、d.その他、という設問に対し、回答はすべて(d.その他)であった。ただしすべて見直し中又は見直しの予定であり、廃止、民営化の他統合も検討しており、現行のままでよいとはどこも考えていない。ただ一口に廃止とか民営化だけにすることはできないので、その他を選んだものと思われる。

9. 地方経済が低迷する原因は何でしょう?
a.非効率官製経済、b.民間企業の怠慢、c.東京一極集中、d.その他、という設問に対し、回答はc.とd.に集中した。(c.東京一極集中)と答えたのは宮崎、長崎、熊本であるが、熊本はd.として地方の産業構造の問題も指摘している。このほかd.として福岡、佐賀も産業構造の問題を指摘しているが、おそらくそれが正解であろう。尚鹿児島は個人消費等の最終需要が盛り上がらぬ事、大分はインフラの格差を問題にしており、沖縄は様々な要因として具体的な指摘がなかった。やはり問題は国際的経済構造の変化に地域の産業構造を如何に対応して行くかということで、そこにまだ気が付かない所もあるという事であろう。地方自治体といえどもグローバルな視野が必要となった典型的なテーマであろう。

10. 全国的な道州制への移行についてどのように考えますか?
(a.賛成、b.反対、c.その他)という設問に対し回答はすべて(c.その他)であった。ただし道州制への移行に反対の所はなく、長崎は賛成、沖縄は避けられないとしているが、具体的方法を検討する必要があるとしている。その他福岡、大分、熊本は更に検討が必要としている。佐賀は都道府県合併なら条件の整った所から、道州制なら全国一斉に進めるべきとしている。ただし一極集中の東京は各道州のバランスを崩さぬよう大きな議論が必要であるとしている。我々は佐賀の意見のように道州制は中央政府のスリム化と一体に全国一斉に行うべきと考えるが、東京は南関東とは別に一つの道とするのがよいと考えている。

11. 九州全域の道州制への移行についてのご意見(If any)
宮崎、福岡、大分、長崎、熊本の5県は特になしとの回答。鹿児島より、九州地方知事会の下の「道州制等都道府県のあり方を考える研究会」による調査研究を進めて具体的論点を整理し、必要に応じて国に提言できるようにしてゆくと回答している。沖縄は[2]でも述べたように地理的位置、自然・文化等の特性から道州制導入について様々な角度から総合的に検討していると回答している。当連盟の主張するように、沖縄は九州道とは別にした方が良いのではないかと思う。佐賀は都道府県のあり方として連邦制は憲法改正が必要なので除外し、都道府県合併は既にし易くなるよう地方自治法の改正案が国会で審議中であり、道州制についてはもっと議論が必要であるが、自ら積極的に道州制という広域自治体による統治構造を決めて行く姿勢で今後取り組んで行くと回答しており、その姿勢に対して全面的に共感し、支持を表明したい。

12. おわりに−回答の印象
北海道で道州制特区の作業が進行しているので、対極的に九州はどうだろうとアンケートしたが、九州地方知事会の下で研究会が行われており、道州制は目下議論中で、方向としては良いが具体的な結論は未だ得られていないという状況である。意外だったのは地方交付税の存続を全県廃止すべきでないとの回答で、地方自立の決意と国と地方との財政赤字を、県レベルの行政機関として果たして真剣に考慮しているのかどうか、率直に言って疑問に感じた。尚地方分権一括法で都道府県は中央政府の下部組織という面は大きく改正された筈で、知事の権限で中央官僚に対抗できることは長野県の脱ダム宣言でも見ることができる。国と地方の役割分担で、中央政府が如何にスリム化されるかが見えてこないことが、地方自治の進展にとって大きな障害となっているように思われる。この点今度官房副長官になった自民党道州制推進議員連盟会長の杉浦正健氏に中央政府のスリム化計画を督促することとしたい。





 道州制推進連盟

Copyright (C) 2005 www.dohshusei.org. all rights reserved.
TAPJ