最近の注目情報詳細2013年1月)

 

1.新藤総務相が道州制導入に意欲 法案提出時期は明言せず

20121227 産経ニュース)

 新藤義孝総務相は27日未明の記者会見で、都道府県を廃止し、全国を10程度のブロックに再編する道州制について「大きな方向として必要と思っている。今後、法律の制定も含めて進めていくべき課題だ」と導入に意欲を示した。

 

 ただ、自民党の衆院選公約で早期制定を目指すとした道州制基本法案の提出時期は「議論を深めないといけない」と明言を避けた。

 

 公約で廃止するとした一括交付金は「まずは地域の声を聞かなければいけない」とし、来年度予算の編成過程で扱いを決める意向を示した。国の出先機関改革の関連法案を国会に提出するかどうかは「党の考え方を踏まえて適切に対応したい」と述べるにとどめた。

 

 

2.2013年を展望する:正しい方向の道州論を(社説)

2013年1月6日 毎日新聞)

 適切な管理が行き届かない「空き家」の急増に対処するため、自治体が所有者らに勧告したり、解体などの代執行を可能としたりする条例を制定するケースが目立っている。本格的な人口減少社会の到来が今後、地方自治の世界にもさまざまな影響を与えていく予兆と言える。

 

 国と地方の関係をめぐり、今年は都道府県や市町村の制度をめぐる論議がこれまで以上に活発になりそうだ。日本社会は超高齢化を迎え、半世紀後に人口は約8700万人に減少するとみられる。地方が活力を失わず、多様な豊かさを維持するためどんな「かたち」がふさわしいか。

 

○人口減少下の地方像

 

 47ある都道府県を廃止し、数ブロックの道州に再編する「道州制」構想について考えたい。

 

 さきの衆院選で自民党は道州制導入に向けた基本法案の整備後、5年以内に実現を目指す考えを公約に記した。与党の公明党、野党でも日本維新の会、みんなの党が積極姿勢だ。基本法案制定が安倍内閣の政治日程にのぼる可能性も出てきた。

 

 道州制は小泉政権の下で注目度が高まり、06年に政府の地方制度調査会は導入が適当とする答申をまとめた。だが民主党は地域主権改革で市町村への権限移譲を優先したため、議論は沈静化していた。

 

 中央官庁が地方行政にさまざまな基準を押しつける「義務づけ、枠づけ」の見直しなど民主党政権で分権は一歩前進した。市町村に権限が移ると同時に、「関西広域連合」にみられるように府県を超えた広域行政のニーズも高まり、府県の役割は次第にあいまいになってきている。

 

 47都道府県は旧東京府の都への移行などを除き120年以上にわたり基本的に変化していない。自治の仕組みを大きく見直し、外交、防衛などを除き権限、財源を大胆に地方に移譲するのであれば、道州制は選択肢のひとつと言えるだろう。

 

 だが、誤った方向に議論が進むと取り返しのつかない弊害をもたらしかねない危うさもはらんでいる。

 

 たとえば、今の府県を単純に合併、広域化しても逆に「州都」に一極集中してしまうおそれがある。現に北海道は札幌圏への人口集中が止まらない。また、分権とまったく逆に地方への国の関与を強める発想からの道州制論がある点にも注意すべきだ。実際、1957年当時には国と地方自治体の性格を併せ持つような道州を置く構想が浮上した。

 

 道州制で一気に行革が進むというのも幻想だろう。国の事務を道州に委ねても、人員が必要なことに変わりない。しかも現在、都道府県職員のかなりの部分は教職員、警察、福祉分野で占められ、再編による合理化にも限界がある。

 

 

3.道州制 「地域主権型」の確立を

2013年1月7日 公明新聞)

○自治の拡大と行革の推進めざす

 

道州制の導入推進が、昨年末の自公連立政権合意に掲げられた。

 

公明党の山口那津男代表は昨年9月の党全国大会で「地域主権型道州制への移行によって地域の潜在力を引き出す」と主張。同12月の衆院選重点政策では道州制基本法の制定を公約として訴えた。

 

道州制をめざす議論は、有効性を失った中央集権体制を乗り越え、地域の可能性を開花させる「新しい国のカタチ」を探る作業でもある。国会だけで議論できるテーマではない。国民的議論を喚起しながら、具体像を練り上げていく必要がある。

 

公明党は、まず、首相の諮問機関として道州制国民会議を設置し、約3年かけて議論を深め、その後2年をめどに移行への法的措置を講じるプランを提示した。自民党は、道州制基本法案骨子案(昨年9月)の中で、首相の諮問に応じて調査審議をするための道州制国民会議の設置を定めている。改革を国民本位の姿勢で進める考え方は一致している。

 

道州制の具体像は20年以上前からさまざまに議論されてきたが、20072月に道州制担当相の下に設置された「道州制ビジョン懇談会」の中間報告(083月)が一つのイメージを提起している。道州制推進知事・指定都市市長連合の村井嘉浩共同代表(宮城県知事)も昨年、山口代表との会談で「自公政権の時につくったビジョン懇・報告書のような形にしなければならない」と評価した。

 

それによると、現在の47都道府県を廃止し、全国を10程度の「道」または「州」に再編する。その結果、国のカタチは、国、道州、基礎自治体(市町村)の3層構造となる。要点は道州を地方政府と位置付けることである。

 

そのためには中央政府(国)と道州との役割分担の明確化が重要になる。国は、外交・防衛、通貨管理、司法など国でなければできない仕事を担う。道州は、自治立法権、自治行政権、自治財政権を行使して住民サービスと地域活性化を主体的に実施できるだけの「地域主権」をもつ。

 

これによって、地方自治の拡大と、地域の個性に合った効率的な行政をめざす行政改革が同時に進むことになる。この構想は、公明党の掲げる地域主権型道州制と同じ理念に基づいている。

 

先の民主党政権は、地域主権を政策課題としながら、道州制担当相もビジョン懇も廃止し、道州制論議を止めた。今、国民は新しい議論を待望している。