最近の注目情報詳細2016年5月)

 

 

1.自民党「道州制」の党内議論を再開

2016年4月26日 毎日新聞)

 自民党道州制推進本部(原田義昭本部長)は26日、都道府県を再編して国の権限や財源を地方に移譲する「道州制」の党内議論を再開した。

 

 自民、公明両党が2013年にまとめた道州制推進基本法案の骨子を基に、地方創生との相乗効果などを検討するほか、道州制の研究を目的とする新組織の設置も決めた。

 

 

2.連続震度7の衝撃<4>職員忙殺、公助に限界

2016年5月16日 西日本新聞)

 着の身着のまま避難する人の間を縫い、自転車を走らせた。停電の中、ライトが頼り。4月16日未明、熊本県企業立地課の内藤美恵審議員は職場に急いだ。

 

 同僚たちも家族を残し、次々と登庁。全国の企業から相次ぐ救援物資提供の申し出を受け付けた。一方で−。県の企業誘致サイトを、課員たちが気にし始めた。「熊本地域は安全地帯」。日本地図に大地震発生地点を表示し、東日本を「危険地帯」と強調。熊本は「120年間発生していない」とPRしていたのだ。

 

 2014年には、道州制導入時の州都を目指す蒲島郁夫知事が熊本県を九州の「広域防災拠点」とする構想を公表。昨春は南海トラフ地震時の「現地対策本部」候補地として、内閣府から指名も勝ち取っていた。

 

 地震列島・日本に「安全地帯」はなかった。県の構想では被災地支援拠点となるグランメッセ熊本(益城町)も損壊、駐車場は車中泊の避難者であふれた。ソニーや富士フイルムなどの熊本誘致に携わってきた内藤審議員は「企業へのPRを一から見直さなければ」。企業誘致サイトは20日、ひっそり閉鎖された。

 

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 阿蘇大橋崩落など被害が深刻だった南阿蘇村。職員たちは避難所で顔をゆがめ、すし詰めの村民と向き合った。犬もいた。「炊き出しは?」「コンタクトレンズ洗浄用の水を」…。村備蓄の1500人、3食分の乾パンはすぐ尽きた。ハンドマイクは「うるさい」と怒鳴られ、やめれば「聞こえん」と大声が上がる。村民約1万2千人のうち職員は約140人。必死に笑顔をつくったジャージー姿の女性職員は「みんな家族を置き去りにして働いている。人手が欲しい」と絞り出した。男性職員の役目はトイレ用の水くみなど力仕事。4人で500リットルのタンクを2個用意し、ポンプ車でため池との間を5往復した若手の目は血走っていた。「ずっと寝ていない」−。

 

 「家に戻れる方はお米の寄付を」。息苦しさを振り払ったのは、そんな行政防災無線の呼び掛けに応じた村民たちの善意だ。200キロ近くの米や新鮮なアスパラガスなどの野菜が続々と集まり、急場をしのいだ。

 

 支援物資が熊本市内で山積みのまま被災地に届かなかった原因も、仕分けや配送の職員不足。米を陸送した東京都あきる野市の職員は荷下ろしまで「5時間待たされた」。大西一史熊本市長は19日早朝、マンパワー不足をツイッターに投稿。ボランティアを募るとその日中に約800人集まり、物流は改善に向かった。

 

 公助の限界をどう補うか。南阿蘇村の職員は「今後の防災計画では住民との協力態勢を今まで以上に重視する必要がある」と話す。

 

●広域連携に空白期間

 

 14日夜の前震から1時間半後、大分県防災危機管理課の職員は大分市内の自宅から熊本県庁に車を飛ばした。九州地方知事会は災害時の「相互応援協定」を結んでおり、幹事の大分県が応援職員の派遣に向けて調整するためだった。本震後、福岡県は早速、派遣する事務系職員の人選を進めた。

 

 被災した熊本県側は混乱を極めた。大分県側への具体的な人的要請は18日午前1時すぎ。各県がやりとりし、派遣計画がまとまるのにさらに12時間。福岡県は20日午前8時半、ようやく第1陣28人を派遣した。

 

 職員を広域の自治体間で補う仕組みは阪神大震災後、全国で広がる。その枠組みが足かせとなり“空白の5日間”を生んだのではないか。福岡県幹部はいま、「県単独で支援に動く可能性も含め、緻密に連携すべきだった」と悔やむ。熊本県への人的応援は、延べ1万2千人を超える。