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1.ドグマの都構想案 (【橋下徹を語る】2 堺市長・竹山修身氏)

20121015 産経ニュース)

橋下さんは常に、改革マインドを持っているかどうかにこだわったし、私も府職員の時代から道州制の導入など地域からの発信が必要だと思っていて、橋下さんとは道州制の必要性を話し合うこともあった。改革志向という点で相性は合うんですよ。

 

 堺市長選への出馬を決めて相談したときにもその話をした。選挙のやり方を知らないから、街頭演説の手ほどきを受けた。既成政党を敵に回しながらも、橋下さんらが支援してくれたおかげで当選できた。

 

 「大阪都構想」という考え方も、二重行政を解消していくという考え方も是としている。

 

 しかし、なぜ堺を分割する必要があるのか−。その点なんです。

 

 橋下さんは30万から50万が最適の都市規模であり、大阪市を8つか9つに分割する案を考えている。それは一つのドグマ(独断)でしかない。

 

 周辺の自治体と合併して今の政令市の堺市になったが、今の規模こそ堺の地域連帯感が共有されていると思う。堺が分割されたら住民の地域連帯感も分断されることにならないか。

 

 橋下さんらは昨年の「大阪ダブル選」で勝利したから大阪都構想は支持されたという。しかし、私の市長選のときには都構想は影も形もなかった。堺市の分割は堺市民の民意とはなっていないはずだ。

 

 府にいた時代を振り返ると、平成20年2月、橋下さんが知事として府庁に乗り込んだときのあいさつには、職員も府議の方もびっくりよ。

 

 「皆さんは破産会社の従業員である!」

 

 私は当時、知事とは距離がある議会事務局長だったので「テレビ的やな」という程度の思いやった。それが、2カ月後には商工労働部長に異動。「大変やな」と痛感した。

 

 とにかくメールの多いこと。2人で話をする機会もあるのに、毎日メールしてくる。一斉メールもあれば、私個人へのも。日中も夜中も休日も関係なしやった。「竹山部長さん、こういうことが起こっているが、どう考えればいいのだ」とか「これをある人に言われたが、どういうことだ」とか…。

 

 メールが来たら、クイックレスポンスだ。まずはメールで「この事業についてはこういう経過でこうなっていると思います。詳しくは翌日にお返事させていただきます」と第一報を入れて、安心させる。翌日にきちっと報告するとした。

 

 でも、こういうのは民間企業では当たり前なんでしょう。私も前例踏襲が嫌いやったから、橋下さんの発想は理解できた。一方で、幹部職員との懇親会では知事が自らお酌して回っていた。なかなか、人の心をつかむのもうまいんですよ。

 

 分権に対する不満や社会の閉(へい)塞(そく)感を打ち破ってほしいとの思いが、橋下さんの支持につながっていると思う。私は堺の現場を歩き、市民のニーズをくみ取って市政を行うことを考えると、国政まで頭は回らない。橋下さんはスーパーマンやから二足のわらじができるん違いますか。

 

 

2.迷走する新潟州構想 明確な未来像見えず

20121018 毎日新聞/新潟)

◇関心の低さ浮き彫りに

 昨年1月25日、泉田裕彦知事と新潟市の篠田昭市長が前触れなく発表した「新潟州構想」。二重行政の無駄の排除や、市町村など基礎自治体の権限強化が主な目的だ。

 

 「県と政令市の合併」を明言し、「州」という都道府県の概念を超えた響きはインパクトは大きかった。しかし1年半以上たち、新潟州構想は議員、産業界、各市町村から相手にされなくなっている印象がある。そこには「新潟州」の名が独り歩きし、実態が定まらないという実情がある。

 

 当初、新潟州構想は、都道府県の再編を意味する「道州制」とは一線を画していた。道州制は、基礎自治体の強化や地方への権限移譲をおろそかにしているという理由からだ。

 

 一方で、道州制移行をにらんだ「大阪都構想」を明確にする橋下徹・大阪府知事(当時)と同調する姿勢も示すようになった。同7月には、大都市制度の見直しを求める首長たちが名古屋市で集まった。橋下知事(同)や「中京都構想」を掲げる河村たかし・名古屋市長、篠田市長も出席。課税自主権の拡大などを目指す「愛知宣言」を採択した。

 

 泉田知事と篠田市長が鳴り物入りで打ち上げた新潟州構想も、明確な未来像が見えないまま迷走していく。そして今年5月、新潟州構想検討委(座長=北川正恭・早稲田大学院公共経営研究科教授)が報告書をまとめた。そこには県と新潟市の合併の記述が消えたばかりか「新潟州の形に普遍・画一的なものはない」とし、課題解決を優先するとあった。

 

 県議会、新潟市議会からは質問が相次いだ。6月県議会では西川洋吉議員(自民)は「多くの議員や県民が何をしたいのか分からないという状況にあるのでは」と指摘。6月新潟市議会でも五十嵐完二市議(共産)が「構想の最大の眼目だった県と新潟市の合併がなぜ具体化しなかったのか」と追及した。

 

 産業界も冷ややかだ。新潟など3商工会議所は5〜6月、アンケートを実施。回答した950事業所で「新潟州構想の内容を詳しく知っている」と答えたのがわずか1%に対し「名称だけは知っている」は60%、「知らない」は10%に上った。同構想は産業政策などによる成長戦略の強化にも主眼が置かれているが、肝心の産業界の認知度や関心の低さが浮き彫りになった。

 

 

3.日本維新公約判明!「キャリア官僚は40歳定年」…

20121026 産経新聞)

 日本維新の会が次期衆院選で掲げる公約の原案が26日、明らかになった。原案の要旨は以下の通り。 

 

【基本理念】

 「自立」個人、地域、国家の自立。「自由」あらゆる既得権益を打破。「保守」皇室を尊び、日本の歴史と伝統を尊重する。

 

【憲法改正による統治機構改革】

 任期4年の首相公選制。道州制によるガバナンス改革を行い、道州に課税権を移譲する。政権公約など重要項目以外は政党の党議拘束を外す。

 

【行財政改革】

 衆院定数を240人に削減、歳費などの経費も3割削減。キャリア官僚の40歳定年制。各省庁の課長級以上の幹部も年俸制の政治任用。

 

【外交・防衛】

 日本固有領土の竹島、尖閣諸島、北方4島については、妥協しない。国連安全保障理事会の常任理事国入り。集団的自衛権の憲法解釈を変更し、法整備を行う。2045年を目標に外国軍の国内駐留を全廃。日本全体で沖縄負担の軽減を図るロードマップを作成する。

 

【経済・雇用・税制】

 日銀に100兆円規模の「経済復興基金」設置。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に参加、自由貿易協定(FTA)拡大。法人税率を半減。負の所得税・ベーシックインカム(国民への最低生活保障)的な考え方を導入。

 

【社会保障制度改革】

 年金は積み立て方式に移行。高齢者向けの社会保障関係費の圧縮。歳入庁を設置。

 

【農業】

 農業版整理回収機構の設置。戸別所得補償制度は専業農家に限定。

 

【エネルギー】 

既設の原子炉を持つ原発は2030年代までに全廃。安全性の高い「世界最高水準の原発」は輸出。

 

【教育改革】

 日本の歴史と伝統に誇りを持てる歴史教育を行う。教育委員会制度の廃止。

 

 

4.全国知事会議 道州制論議 宮城知事、慎重派と応酬

201211月3日 河北新報)

 政府主催による知事と野田佳彦首相らとの意見交換に先立ち、2日午前にあった全国知事会議では、道州制へのスタンスをめぐり、推進派の村井嘉浩宮城県知事と慎重派の知事が持論をぶつけ合う場面があった。

 次期衆院選を見据え、知事会は各政党の政権公約を見定めるための「日本再生十二箇条」を策定。道州制を含めた広域自治体の在り方検討なども盛り込んでいる。

 地域主権型道州制の実現を掲げる村井知事は「各政党が道州制を前向きに捉えている。是か非かをずっと続けていたら、結果的に都道府県合併の話になりかねないと危惧する。『いい道州制』への議論を進めるべきではないか」と提起した。

 これに対し、上田清司埼玉県知事は「今が制度改革の時期かは疑問で、最優先の課題は日本経済の再生だ。道州制議論は凍結もありうる」と反論。井戸敏三兵庫県知事も「現段階では何が道州制なのかはっきりせず、独り歩きしているものに付き合うことはない」と言い切った。

 村井知事は12日、石井正弘岡山県知事の退任に伴い、道州制推進知事・指定都市市長連合の知事側の共同代表に就く。村井知事は「地方分権の究極として議論を進めてきた経過があり、(凍結したら)国民の信頼を失う。止まることなく前向きな議論を強くお願いしたい」と繰り返した。

 

 

5.道州制 財源論でズレ表面化 村井宮城知事、橋下大阪市長

201211月6日 河北新報)

 地域主権型道州制の導入を目指す道州制推進知事・指定都市市長連合の共同代表に就く村井嘉浩宮城県知事と、政令市側共同代表の橋下徹大阪市長の間で、微妙な擦れ違いが表面化してきた。消費税をめぐる財源論で互いの主張が折り合わない。橋下市長は地方税化を掲げるが、村井知事は慎重姿勢を示す。東西を拠点とする両代表の意思疎通が課題になりそうだ。

 橋下市長は10月末、道州制を前提に消費税率を11%まで引き上げ、5%を自治体の独自財源、残り6%を地域間の財政調整に充てる試案を提示。地方交付税制度の廃止を掲げた。

 これに対し村井知事は5日の定例記者会見で「道州制になれば、(国税を含めた)税制は抜本的な見直しが必要になる」と反論。橋下市長の試案は「都道府県の(単なる)合併を前提にした印象がある」と疑問を投げ掛けた。

 2人は4月に発足した同連合の発起人で、村井知事は現代表の退任に伴い12日に共同代表に就任する。発足時から代表職の橋下市長と渡り合い、どう議論をリードするかが焦点となる。

 同連合は7月、道州の財源として「消費税の地方税化が有力な選択肢」とする制度案をまとめた。ただ「橋下市長が掲げる大阪都構想との整合性も不鮮明」(西日本の県担当者)とされ、制度を具体化する作業は難航も予想される。

 地方結集を呼び掛ける村井知事だが、自ら提唱した北海道・東北の8道県(新潟県を含む)による広域連携の事務レベル会議は協議が停滞している。福島市で9日にある北海道東北地方知事会議では検討報告を見送ることにした。

 宮城県庁内には「地方分権の旗印さえ揺らがなければいい。細かい制度設計に踏み込む必要はないのでは」との見方もあり、道州制をめぐる知事の言動を注視している。

 

 

6.長野県知事、道州制移行に否定的

201211月8日 中日新聞)

 阿部守一長野県知事は七日、都道府県を再編して道州制へ移行することについて「全国一律に線を引き直すのは問題解決にならない。今の段階で道州制に進むことは否定的だ」と話した。長野市内で開かれた県町村会と県町村議会議長会との意見交換の場で明らかにした。

 

 阿部知事は「道州制になれば(さまざまな問題が)解決するというのは、今の議論のレベルからすると難しい。何が問題かという認識の共有がされない中で、手法だけが浮かび上がっている」と応えた。

 

 衆院選を控え、一部の政党が道州制実現を掲げている点に対しては「各政党が道州制をうたうのであれば、踏み込んだビジョンを示してほしい」と訴えた。

 

 町村会と議長会の役員からは「小さな町村に効率だけを求められると困る。知事の意見を聞いて安心した」「道州制の議論は、はっきりしたものが見えない中で進んでいる」といった意見が出た。

 

 町村会と議長会はこの日、義務教育の充実や増加している廃屋への対策など二十項目を知事に要望。来年度の県の施策へ反映することを求めた。

 (森若奈)

 

 

7.道州制首長連合、新共同代表に宮城知事就任

20121113 河北新報)

 宮城県の村井嘉浩知事は12日、道州制実現を目指す知事と政令指定都市市長でつくる「道州制推進知事・指定都市市長連合」の共同代表に就任した。前任の石井正弘前岡山県知事が11日付で知事を退任、後を継いだ。

 もう一人の共同代表は橋下徹大阪市長で、村井知事は就任を控えた5日の記者会見で「なるべく早く橋下氏と話し合い意見を集約したい」と述べ、衆院選をにらみ各政党への働き掛けを強める意向を示していた。

 首長連合は今年4月、9道府県知事と15政令市長で発足した。