第一段階

 

☆概要

第一段階では、現在の国政を「国」が行うべきものと「地方」が行うべきものに分け、「東日本州」と「西日本州」という新たな州をつくり、地方が行うべき内政の多くを国から東日本州と西日本州に移します。

過程としては、まず「道州制移行法」といった法律を作成し、それを国会で可決、成立させる必要があります。次に、道州を設置できるように現在ある地方自治法等の関係する法律を改定することも必要になります。

そして国会で、「州長」及び「州議会議員」選挙の日程を決定します。選挙の準備に1年は必要でしょうし、またどの季節に行うのが最適かを考慮する必要もあります。それらを検討して日程を決めます。

次に、国会で各「州都」を決定し、州都に「州庁」設置の準備を開始します。

それが終わったら、具体的に現在の国政を、国が行うべきものと州が行うべきものに分ける必要があります。そして州に移行することが決まった霞が関の機能を、権限・財源・人材ごと移していきます。

州庁の準備ができたら、州長及び州議会議員の選挙を実施し、州の行政を開始します。

なお、この第一段階では、現在の都道府県や市町村のしくみは変更しません。

 

☆2つの州を新たにつくる

国と都道府県の間に、「新たな地方公共団体」として東西2つの大きな州をつくります。

具体的には50ヘルツと60ヘルツという電気の周波数の違いを境にして、日本を東日本州と西日本州の東西2つの大きな州に分け、それぞれに新たな地方政府・地方議会をつくり、そこへ現在国が担っている内政の多くを移します。

これにより、国と東京に集中していた権力の多くが2つの州の「州都」に移るので、中央集権・首都圏一極集中が大幅に改善されます。(東日本州の州都は、首都圏以外の地に新設します。)

また、国と地方の役割分担が明確になり、それぞれの担当者もより明らかになりますので、国民の意思が今よりも正確に政治に反映されるようになります。

(州境) 東日本州 新潟県・群馬県・山梨県・神奈川県

     西日本州 富山県・長野県・静岡県

(州都候補地) 東日本州 ⇒ 仙台市  西日本州 ⇒ 大阪市・岡山市

 

☆州境は地域の意向を尊重する

州境については、当面都道府県を残すので都道府県単位を基本にしていますが、県の東部と西部、北部と南部では別の州に所属することを希望する基礎自治体が出てくる可能性もあります。その際は、地域の意向を尊重して柔軟に対処します。

 

☆国と州の役割分担

現在国が行っている役割を「国」と「東日本州」「西日本州」で分担します。東西の州の担当内容は同じですが、担当地域が違うことになります。

国が担当することは、国家の存立に関係することや国家的見地から統一的に行わなければならないことのみとし、それ以外の、現在国が抱えている権限・財源・人材の多くは、「州」に移します。

具体的には、国は、外交・安全保障、金融・通貨、最低限の生活保障・年金、皇室、司法等を担当し、その他の一般内政の多くは、州の担当になります。

 

☆省庁の移行

州への役割移行に伴い、当然、中央省庁も、国に残るもの、州に移るものに分かれます。省庁によっては3つに分かれるところもでてきます。

具体的には、内閣府・法務省・外務省・防衛省は、そのまま国に残ることになります。

農林水産省・経済産業省・国土交通省は、国には残らず、2つに分けて、州に移行します。

総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・環境省は、その役割を整理し、国に残すもの、州に移すものに分けます。

権限も財源も人材もその多くを国から州に移すわけです。

 

☆権限・財源・人材の移行

国の多くの権限・財源・人材が東西2つの州に移ります。しかし、担当する業務内容が変わるわけではありません。国から州に移行した内容については、国家公務員から州職員という地方公務員になった旧中央官庁の職員が、霞が関ではなく、東日本州霞が関、西日本州霞が関でこれまで通りの業務を行うことになります。よって、この段階で公務員が減ることはありません。

 

☆州都には首都のバックアップ機能

移行の手順ですが、州都には首都のバックアップ機能を持たせ、例えば「仙台霞が関」「大阪霞が関」をつくります。まずは3つの同じ機能を持った「霞が関」をつくるわけです。そして、分担が決まった業務について、国から州へ官僚が移動し、権限・財源も同時に移していきます。

首都圏直下地震や南海トラフ地震の可能性が高まっている今日、東京以外のところに首都のバックアップ機能を持たせることは、危機管理としても必要です。3つの霞が関が一度に被災することはないでしょうから、いざというときは、州都が一時的に日本の政治を担うことになるでしょう。

 

☆国税は「州税」に

国の役割を「国」と「州」に分けるわけですが、その財源となる現在の「国税」は、国には残さず、すべて同様の内容で、「州税」として各州に移します。州が国に代わって課税主体となり、州の経営を行っていくわけです。

国の財源については、各州がそれぞれの域内総生産の大きさに比例して「国費分担金」として負担します。国連の財源を加盟国が各々の国力に応じて負担するのと同じ形式です。

もちろん、「国税」を「国税に残すもの」と「州税」に移すものにわけることもできますが、何を残し、何を移すかで大きくもめてしまうでしょう。

そこで、すべて州に移し、運営の過程で何か大きな問題が生じるのであれば、改めてそこで議論し、国に一部を戻すかどうか、戻すとしたら何を戻すかを議論すればよいかと考えます。

 

☆課税権も一緒に州へ

「国税」が「州税」に変わりますので、当然それに対する課税権も州に移り、州議会が国会に変わって決めることになります。よって、州で課税方法・課税対象等が違う可能性もでてきます。

それが州間の競争をより活発化させ、経済の活性化に資するものと考えます。

 

☆国の借金は、そのまま凍結

国の借金については、当面はそのまま凍結し、利息のみ国の予算(=州からの国費分担金)から支払うことにします。

そして、州の経済が活性化した段階で、国庫支出金を増額して返済していくことになります。

 

☆国会・内閣

国会・内閣の機能は基本的には変わりません。国政は、引続き内閣及び国会(衆議院・参議院)が担当します。

しかし、内政についての多くが州に移行しますので、担当する仕事は少なくなります。当然、国会議員の数は少なくなり、大臣の数も減ります。それに伴って選挙制度等の改定について検討する必要が出てきます。

国政の運営は新しい制度を踏まえて、最良の形を模索していくことになります。

 

☆憲法はそのまま

東西2大道州制では、国と都道府県の間に東西2つの大きな州をつくりますが、新たにつくる東西日本州はあくまでも『地方公共団体』ですので、地方自治法等の法律は大幅に変更する必要がありますが、憲法を変える必要はありません。

 

☆天皇制もそのまま

憲法は変更しないで移行しますので、当然、天皇制も維持されます。

東西日本州の州長は、現在の都道府県知事よりさらに大統領的な要素を持ってはきますが、国政の最高機関はあくまでも国会であり、天皇制に影響を与えるものではありません。

 

☆司法もそのまま

憲法を変えませんので、司法も現状と変わりません。

東西日本州は、独自に多くの条例を出すことになると思いますが、制定した条例は、あくまで法律の範囲内であるときのみ有効となります。

条例が法律に違反していないかどうかは、現行の司法制度に則って、いまの司法の枠組みで審議されることになります。

 

☆政治構造は一時4層になる

国と都道府県の間に、新たな地方公共団体として東西2つの大きな州をつくります。当面、都道府県は廃止しません。ですからこの段階では、政治構造としては、国・州・都道府県・市町村の4層となります。

このため、現在抱えている二重行政については当面は残りますが、国・州・都道府県・市町村それぞれの役割分担を明確にし、業務を移行していくことで第二段階以降、改善することができます。

もちろん必要があれば、州単位で、都道府県・市町村を、政令指定都市や東京特別区制度を、州長の指導の下、将来的に見直していくことも可能です。それは住民の判断に委ねられることになります。